移動性精巣と停留精巣の鑑別方法

泌尿器

移動性精巣や停留精巣はいずれも陰嚢の中に精巣がないことで発見されますが、これらの鑑別方法は小児外科医や小児泌尿器科医などの専門医でないと難しいと言われます。移動性精巣と停留精巣の鑑別方法について書きます。

なぜ移動性精巣と停留精巣を鑑別する必要があるのか?

移動性精巣では特別治療は必要ありませんが、停留精巣では精巣固定術を行う必要があります。もし停留精巣で精巣固定術を行わなかった場合には、将来不妊症や精巣腫瘍発生のリスクとなります。停留精巣については以下の記事を参考にしてください。

移動性精巣と停留精巣の鑑別方法

移動性精巣と停留精巣の鑑別は主に触診で行います。精巣を陰嚢内まで引っ張ってきて陰嚢内にとどまるものを移動性精巣、とどまらないものを停留精巣を判断します。その他にも陰嚢の発達の程度や精巣のサイズ、普段の精巣の位置なども鑑別の参考になります。

移動性精巣と診断された場合どうすればよいのか?

移動性精巣は精巣挙筋の反射亢進によると言われているので、停留精巣とは違い、将来の不妊症や精巣腫瘍発生とは関連はありません。したがって、特別治療は必要ありませんが、まれに移動性精巣だったものが成長につれて停留精巣の状態になる(挙上精巣と言います)ことがあるので、注意深くフォローアップが必要です。実際、ヨーロッパの停留精巣のガイドラインには移動性精巣の場合には思春期までフォローアップした方がよいと記載されています。

まとめ

・移動性精巣と停留精巣は精巣が陰嚢内にとどまることができるかどうかで鑑別できる。

・移動性精巣の場合には停留精巣と違って治療は必要ない。

・移動精巣であっても今後精巣が挙上しないかに注意は必要である。

参考文献

・標準小児外科学第7版

・ヨーロッパの停留精巣ガイドライン:Radmayr Christian et al. “Management of undescended testes: European association of urology/European society for paediatric urology guidelines.” Journal of pediatric urology 12.6 (2016): 335-343.

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