「赤ちゃんは痛みを感じているのか?」
痛みを言葉で表現できない赤ちゃんは痛みを感じているのでしょうか?このテーマを解決するために最近赤ちゃんの痛みに関する研究が盛んに行われています。1980年代までは赤ちゃんは痛みを感じていないという説が有力でしたが、21世紀に入ってから行われた結果からは、赤ちゃんは痛みを感じているという結論が出ており、アメリカやカナダを中心に赤ちゃんの痛みに関する研究が積極的に行われています。
赤ちゃんの痛みの生理学は細かい部分までは分からないことが多い(倫理的に実際の赤ちゃんで検査することは本当に難しいことです、、)ですが、痛みに対するケアを怠れば将来の発達に影響を及ぼす可能性までも指摘されています。
そのような現状を踏まえて、日本周産期・新生児医学会などが中心となって2014年12月に「NICU(新生児集中治療室)に入院している新生児の痛みのケアガイドライン」が発行されています。
それでは、言葉を発することのできない赤ちゃんの痛みはどのように判定するのでしょうか?代表的なものとしてNIPS(Neonatal infant pain scale)やPIPP(Premature infant pain profile)という評価方法があります(ガイドラインには6種類載っていますが、2種類だけ紹介します)。
NIPS(Neonatal infant pain scale)
以下の6項目で合計7点満点でスコアを付けます。2点以下で痛みを感じていないと判定され、得点が高いほど痛みを感じていると判定されます。
・顔の表情(Facial expression):0~1点
・啼泣状態(Cry):0~2点
・呼吸様式(Breathing pattern):0~1点
・腕の動き(Arms):0~1点
・足の動き(Legs):0~1点
・覚醒状態(State of arousal):0~1点
PIPP(Premature infant pain profile)
次の7項目を見て合計21点満点(それぞれ1~3点)でスコアを付けます。点数が高いほど痛みが強いという判断になります。
・修正週数(Gestation age)
・行動様式(Behavioral state):主に睡眠覚醒状態
・心拍数(Heart rate)
・酸素飽和度(SpO2)
・眉の隆起(Brow bulge)
・強く閉じた眼(Eye squeeze)
・鼻唇溝(Nasolabial furrow)
最後に
大事なことは、痛みの伴う処置は最小限に減らすこと、だと思います。針を一回刺すという行為だけで赤ちゃんにとってはかなりのストレスになってしまいます。ただ、どうしても、痛みの伴う処置が必要な場面はあるので、そのような時には上記のような方法でしっかり評価をしてあげることが大切になります。
いかがでしょうか?欧米では盛んに研究が行われていますが、日本ではこのような研究は遅れがちなため、ネット上に日本語の情報はほとんどありませんでした。機会があれば実際に痛みを取る方法についても書こうと思います。是非、参考にしてください!