気胸患者は飛行機に乗れるのか?

前回の投稿では自然気胸の診断や治療について簡単に書きました。

気胸を経験した外科医が語る自然気胸の怖いところ

今回は気胸患者さんからの質問の中で多いものの一つである

「気胸患者は飛行機に乗れるのか?」

というテーマについて書いていきます。気胸経験者であれば一度は考えたことのある質問ではないでしょうか?

最初に結論を書いてしまうと以下の3点になります。

気胸発症中は絶対に搭乗不可

・気胸の治癒を確認後、最短1週間(外傷性気胸は2週間)で搭乗は可能。

・だた再発リスクは高いため、1か月程度は搭乗を控えましょう

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なぜ飛行機が問題になるのか?

なぜ気胸患者が飛行機に乗れるかどうかが問題になるかというと、上昇時の気圧の低下に伴い胸腔内の空気が膨張し(理科の授業で学んだボイル・シャルルの法則)、肺の虚脱の状態が悪化するからです。したがって、飛行機だけではなく気圧の変化のあるスキューバダイビングなども問題になりますが、頻繁にスキューバダイビングを行う人は少ないので、今回は最もポピュラーな飛行機を取り上げます。近年では飛行機の気圧調整の技術も向上し、たとえばボーイング787であれば高度1800m程度の気圧で機内を調整できるようになっているため、昔に比べると負担は少なくなりました。

気胸発症中に飛行機に乗ると…

先ほどのボイル・シャルルの法則を思い出してもらえばわかるように、気胸になっている時には絶対に飛行機には乗れません。もし飛行機に乗ってしまったら症状が悪化し、緊張性気胸になり命を落とす恐れがあります。JALやANAのホームページを見ても気胸発症中の搭乗は禁止されています。

いつ頃から飛行機に乗れるのか?

現時点では、気胸の既往がある人が飛行機に乗ってもよいのかという明確なガイドラインは日本にはありませんが、イギリスのBritish Thoracic Society(英国胸部学会)では、2011年9月にrecommendationを発表しています。それによると、胸部レントゲンで気胸の治癒を確認してから1週間後(外傷性気胸の場合は2週間後)から飛行機の搭乗は可能と記載されています。ただ、これはあくまで最短でという話なので、治癒から最低1ヶ月程度は待つことをおススメします。万が一飛行機の中で気胸を再発した場合には、機内での診断や治療はほとんど不可能です。

最後に

自分自身は自然気胸を発症してから長距離便を含めて数十回は飛行機に乗っていますが一度も再発はしていません。当然気胸発症中には飛行機には乗れませんが治癒後しばらく経った状態であれば基本的には大丈夫です。気胸になったときはご自身が最もよくわかると思うので(自分もそうですし、経験者はみなさんそう言います)、その時には必ず周囲にSOSを出しましょう!

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自由に生きる小児外科医

自由に生きる小児外科医

関西で生まれ育ち、都内で小児外科医として働いています。手術が必要な子どもたちの手助けになるように奮闘中。ブログを通して患者さんや医療者に正確な医療情報を発信していきます。 趣味は飛行機で日本各地、世界各国を旅行すること。ついにJALマイルを貯めてJGCを取得しました。ANAのSFC取得も検討中。旅行やマイルの貯め方についても書いていきます。
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