先天性食道狭窄症とは?
生まれつきの発生異常によって食道に狭窄をきたす疾患で、約2.5万~5万人に1人と非常にまれです。先天性食道閉鎖症の約5~10%に合併すると言われています。
先天性食道狭窄症の症状
食道の狭窄に伴う嚥下困難や食物残渣の嘔吐、繰り返す呼吸器感染症、成長障害などが主な症状として現れます。ミルクを飲んでいるとき発見されることは少なく、離乳食をはじめたタイミングで検査、診断に至ることが多いです。
先天性食道狭窄症の3つの分類
先天性食道狭窄症は3つのタイプに分類することができます。頻度が高い順に気管原基迷入型>筋性線維性肥厚型>膜様狭窄型となります。
①気管原基迷入型(tracheobronchial remnants)
最も頻度の高い病型で約半数を占めます。病理学的には気管軟骨や気管支腺などの組織が食道壁に遺残、迷入したことによる狭窄です。中下部食道に多く発生します。
②筋性線維性肥厚型(fibromuscular hypertrophy)
粘膜下の平滑筋や繊維性結合組織の増殖による狭窄です。中下部食道に多く発生します。
③膜様狭窄型(membranous diaphragm)
最も少ない病型で、食道粘膜のみからなる膜で狭窄をきたします。中部食道に多く発生します。
先天性食道狭窄症の診断
まずは上部消化管造影検査が行われます。狭窄部位や程度、形などを評価することが可能であり、形態によって上記の3つの病型に分類することができます。また、上部消化管内視鏡でも全周性の狭窄所見が見られます。
先天性食道狭窄の治療
まずは上部消化管内視鏡を用いたバルーン拡張術が行われます。筋性線維性肥厚型や膜様狭窄型ではバルーン拡張術が有効であることが多いですが、効果に乏しい場合には手術適応となります。手術は病型によって異なり、膜様狭窄では内視鏡的膜切開、筋性線維性肥厚型では粘膜外筋層切開術、気管原基迷入型では、狭窄部切除および端々吻合術が行われます。
参考文献
・標準小児外科学 第7版